絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
「な、なに言ってるのかわからないよ?」


あたしは後退しながら素知らぬふりをした。


ここはマキヤの狂言だと思わせておいた方がいい。


「なんだよ朱里。ここを出たら俺と付き合ってくれるって言ったじゃないか!」


「マキヤ、なんか今日は変だよ? 勘違いしてない?」


マキヤはジリジリと距離を縮めてくる。


あたしは後ずさりしすぎて、背中に壁がぶつかってしまった。


これ以上は逃げられない……。


体中がサーッと冷たくなっていくのを感じる。


何の音も聞こえて来ない。


マキヤの泣き顔がすぐ目の前にあって、全身に鳥肌が立つ。


「……死んでよ」


思わず、そんな言葉を口走っていた。


「へ?」


マキヤはあたしの言葉が聞き取れなかったのか、泣き顔のままそう聞き返して来た。


「なにを勘違いしてるのかわからないけど、あたしの彼氏は翔吾だから!! なにがあっても、翔吾以外の人なんて考えられないから!!」


あたしは大きく息を吸い込んで、思いっきりそう怒鳴りつけた。


マキヤがポカンと半分口を開けて、あたしを見つめている。
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