絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
煙はあっという間に部屋の中に充満し、真っ白に染まった。


「きっと、木村君が勝つ」


あたしは小さく呟いた。


「え?」


加奈ちゃんが驚いた表情を見せてそう聞いて来た。


「ほら見て、今まで勝ち残ってるメンバーを」


あたしがそう言うと、加奈ちゃんがA組の生徒をぐるりと見回した。


「クラス内では目立たなかった生徒ばかりが残ってる」


「本当だ……」


加奈ちゃんはようやくその事に気が付いたのか、目を丸くしている。


「あの煙は理性を壊すんだもん、目立ってた生徒よりも、目立たない生徒の方が怖いってことだよね」


あたしがそう言うと、加奈ちゃんは少し目を伏せた。


「そうかもしれないね。普段からずっと我慢してるんだもんね……」


中尾君たちが言っていたイジメの詳細を思い出し、あたしはまた身震いをした。
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