絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
なにもできない
山田君と宮田君の戦いとはまるで違った。


血まみれになった大森さんは部屋から出て注射を打たれると、その場にすべて吐いてしまった。


自分のやった事をすべて覚えているようで、大きな体でうずくまり時々叫び声を上げた。


普段ならすぐに仲間がかけつけてくれるけれど、今回はそうはいかなかった。


友達を残酷に食い殺したのは大森さんだ。


そんな彼女をなぐさめるクラスメートはどこにもいなかった。


それから男たちは笠原さんをステージにつるし上げ、部屋の中を綺麗に掃除した。


ステージ上で小さく揺れている笠原さんの体からは、まだ血が流れ続けていた。


「いつまで続くの……」


彩美がそう呟いた。


バトルが始まってから、まだ半日しか経過していないのに、その目の下にはクマができていた。


精神的に追い詰められているからだろう。


「夕方まで少し眠るといいよ」


あたしはそう言った。


しかし彩美はあたしを睨みつけて来た。


いつも可愛くて、真面目な彩美とは別人のようだ。
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