絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
梨穂ちゃんの方が今にも泣きだしてしまいそうな顔で、友達に助けを求めている。


いつもと正反対だ。


「亜弥! お前が死ねよ!!」


怯えている梨穂ちゃんを見かねたように、友人たちがそう声を投げかけた。


亜弥ちゃんはチラリと梨穂ちゃんのグループの子へ視線を向ける。


しかし、やはり無表情のままだった。


やがて部屋の中に煙が充満し始めた。


梨穂ちゃんの目に涙が浮かび、イヤイヤと首を振る。


亜弥ちゃんはずっと梨穂ちゃんを見つめたまま動かない。


しかし、煙を目一杯胸に吸い込んでいるのがわかった。


亜弥ちゃんは次第に呼吸が激しくなり、肩を上下に動かし始めた。


目はどんどん吊り上がって行き梨穂ちゃんを睨み付けている。


「ちょっと、梨穂! あんたも煙を吸い込まないとヤバイって!!」


煙から逃げるように身を縮めていた梨穂ちゃんが、ようやく亜弥ちゃんの変化に気が付いた。


が、その時には遅かった。


仕切られていた壁は開き、それと同時に亜弥ちゃんが梨穂ちゃんの体に体当たりをした。


あまり煙を吸い込まんかった梨穂ちゃんはそのまま横倒しになり、なにもできないまま唖然とした表情で亜弥ちゃんを見つめている。
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