絶叫脱出ゲーム③～クラスカースト～
「うん。加奈ちゃんが生き残ってよかった」


「……よかったって、なに？」


加奈ちゃんが震える声でそう言った。


自分の両手を見つめて、目にはジワリと涙が浮かんできた。


「あたし……奈々子ちゃんを殺しちゃったんだよ！？」


血まみれの手を彩美へ突き出す。


彩美は咄嗟に身を逸らせた。


「加奈ちゃん、落ち着いて」


あたしは加奈ちゃんの肩に手を置くが、それはすぐに振り払われてしまった。


「あたし……この手で人を殺しちゃったんだよ？」


加奈ちゃんの消え入りそうな声が胸に突き刺さる。


やらなければやられるのだから、仕方がない。


しかし、自分がクラスメートを殺しているという事実はそう簡単に受け入れられるものではなかった。


それを見て楽しむように、公恵がニヤリを笑うのが見えた。


そして、信じられない言葉を口にしたのだ。


「人殺し」


公恵の一言に体育館の中からざわめきが消えた。


加奈ちゃんが涙を浮かべたまま公恵を見る。


その顔は見る見るうちに青ざめていった。
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