絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
7回目
朝食を終えると、いつのもようにスーツの男がステージ上に現れた。


さっきまで加奈ちゃんをイジメて遊んでいた酒本君たちも、さすがに静かになっている。


「それでは今日最初のバトル開始です!! 対戦相手は藤井あすかVS中村達哉!」


男の言葉にあたしは身を固くした。


自分が選ばれなかったことの安堵感と、また男女のペアが選ばれた事へのショックからだった。


「中村君って……」


彩美はそう呟き、クラスでも1番大人しい男子生徒へ視線を向けた。


ここへ来てからも中村君はほとんどしゃべっていない気がする。


「あれぇ? 中村って誰だっけぇ!?」


公恵がわざとらしく大きな声でそう言った。


みんなが一瞬緊張した表情を浮かべ、それから公恵のご機嫌をとるように笑顔になった。


「知らねぇよ、そんな人間。存在感なさすぎて、いるかいねぇかもわかんねぇしな!」


酒本君はそう言いながら中村君のわき腹を小突いた。


中村君は顔をしかめてわき腹をおさえるが、何もいわずに立ち上がった。


「なんだよお前、シカトかよ」


酒本君が好き勝手ないちゃもんをつける。


中村君はそれも無視して部屋へと向かう。
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