絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
発狂
その場に呆然として座っていると、不意にクラスメートの1人が立ち上がった。


山岡平太(ヤマオカ ヘイタ)君だ。


山岡君は中村君と同じクラス内で目立たない生徒だったが、体格は随分とよかった。


酒本君たちにはデブだといじられていたけれど、そのほとんどは筋肉がついているからだった。


正直、山岡君とバトルすることになったら死を覚悟するしかない。


そのくらい逞しい生徒だった。


そんな山岡君がフラフラと透明な部屋へ向かって歩き始めたのだ。


「おい、どうしたんだよデブ!」


酒本君がさっそくやじを飛ばした。


しかし山岡君はそれを無視して部屋の前まで移動してきた。


山岡君が立っている場所は、さっきあすかが首の骨を折って死んだ場所だった。


「おーい、聞こえてる?」


公恵がケラケラと笑いながらそう言った、次の瞬間。


山岡君が突然部屋を殴りはじめたのだ。


ガンガンと大きな音を立て、部屋が小さく揺れる。
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