CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
「……キリトは、私たちだけのキリトなんだから……」
「……あなたみたいなのが、キリトといていいわけないでしょ……」
投げかけられる言葉に、耐えられなくなって、じりじりと後ずさる。
「……行ってよ? 帰って…とっとと!」
「キリトのそばになんか、いないでっ!」
「……早くっ! 消えてよ……!」
浴びせられる罵声に、その場から思わず逃げ出した。
背中に、
「もう、来ないでよ!」
「キリトの前に、現れないで!」
「邪魔なんだから…オバサン!」
容赦のない言葉が、笑い声とともに飛んで、私は駆け出した。
夜遅くなって、キリトから連絡が入った。
だけど、私は、電話に出ることができなかった。
彼女たちが言ったように、自分はキリトにふさわしくないと思えた。
募って、止められなくもなっている彼への気持ちに、もうこの辺でけりを付けなければいけないようにも感じていた。
彼は、人気絶頂のアーティストで、私はその彼より年齢が5つも上の、
彼には似つかわしくなんかない、ただ普通の女だった。
彼女たちの言うように、私は彼のそばにいるべきじゃない……。
膨らんだその思いは、もはや消せなくなって、
私はそれっきり彼からの連絡には、一切出ることができなくなった……。