CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~

「……だって、メンバーのみんなも、あなたのフォローが大変とかって……」


以前に聞いた話を持ち出すと、


「ああ…あいつらか…」


と、キリトが、タバコの煙をふーっと吐き出した。


「……あいつらとは、合わないから…いろんな意味で……」



わずかに目を伏せて、彼が一瞬翳りの表情を見せた。


「……メンバーとは、もともと一緒だったんじゃないの?」


何かあるようにも感じて、尋ねてみると、


「一緒じゃない……あいつらは、元は3人のメンバーだ…」


と、キリトが意外な言葉を口にした。

吸ったタバコを、彼が灰皿にもみ消して、


「俺は、1人でストリートで歌ってたのを、メンバーにスカウトされたんだ…」


と、話した。

「そんな話、初めて聞いた…」


彼らには何度も取材をしているのに、誰の口からもそんなエピソードは聞いたことがなかった。

< 34 / 156 >

この作品をシェア

pagetop