CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
「……だって、メンバーのみんなも、あなたのフォローが大変とかって……」
以前に聞いた話を持ち出すと、
「ああ…あいつらか…」
と、キリトが、タバコの煙をふーっと吐き出した。
「……あいつらとは、合わないから…いろんな意味で……」
わずかに目を伏せて、彼が一瞬翳りの表情を見せた。
「……メンバーとは、もともと一緒だったんじゃないの?」
何かあるようにも感じて、尋ねてみると、
「一緒じゃない……あいつらは、元は3人のメンバーだ…」
と、キリトが意外な言葉を口にした。
吸ったタバコを、彼が灰皿にもみ消して、
「俺は、1人でストリートで歌ってたのを、メンバーにスカウトされたんだ…」
と、話した。
「そんな話、初めて聞いた…」
彼らには何度も取材をしているのに、誰の口からもそんなエピソードは聞いたことがなかった。