CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
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「……やめたいって、だけど、どうして……?」
Kirは、今が一番売れている時のはずだった。
「嫌なんだ…もう。バンドとしてやっていくのが……」
言って、キリトが顔を両手で覆った。
いつもの強気さが少しも見られない彼は、雨に濡れる子犬みたいにあまりにもか弱い存在にも感じられて、
思わず手を伸ばして、肩をそっと抱いた。
「ごめん…つまらないことを言って…。
あんたに、こんなことを言っても、仕方がないのに…」
「ううん、そんなことない」と、首を振る。
「力になるから…できる限り」抱きしめた肩に、ギュッと力を込めて、
「だから、大丈夫だから…」と、励ますように口にした。