恋の処方箋SOS
もっと欲しくて私は白石先生の首に手をまわした
「いけない子だね、貪欲でかわいい僕のお人形さん」
欲しがる彼女を突き放してベッドに横たえた
「白石先生?」
「ごめんねまた後で来るから」
白石先生のキスが名残惜しいまま私は眠りについた
眠っている間に午後の検査も一通り終わったらしく私はまた病室に戻ってきていた
しかも龍太郎がいたけど私はなにも感じていなかった
「杏子?」
名前を呼ばれてとりあえず龍太郎のほうを見た
「なに?」
「なにっておまえなぁ」
「触らないで」
「はあ?血圧計るだけだろ」
私は龍太郎の手を振り払いただ壁を見つめていた
龍太郎はいらだったまま看護師にその場は任せて行ってしまうけど私はなにも感じなかった
夕食の前に白石先生が顔を出してくれた
「大丈夫?いい子にしてた?」
「うん」
私が満面の笑みでこたえると白石先生がにこりと笑ってくれた
「体温と血圧を計ろうか」
「はい」
私は腕をそっと差し出して血圧と体温を計り終えると優しくキスをされた
「白石先生」
「ん?」
「食事も一緒にいてください」
「ちょっと困ります比嘉先生」
廊下でなにやら声がして入室を許可した
「じゃまするぜ白石先生」
ばさりと白衣を椅子にかけると龍太郎がどかっと座った
私はなぜか白石先生の膝に頭をのせて甘えていた
「彼女は寂しがっていた、だから簡単に壊せたよ比嘉先生」
「ずいぶんやってくれんじゃねぇか」
「あまり大声をだすのはよくないよ」
「杏子」
「僕の洗脳はそう簡単にはとけないよ?
彼女は僕の言葉にだけ一喜一憂してくれるいうなればパブロフの犬だ
かわいいだろ?」
龍太郎はなぜかすごくイライラしたまま出ていってしまった
私は白石先生に食事の介抱をしてもらっていた
「おいしい?」
「はい」
食事も終わって白石先生がいなくなってしまうと入れ替わりに龍太郎が入ってきた
龍太郎はなにも言わず椅子に座った
「こっからは独り言だ
喜べよ今日はおまえのために当直してやる」
白衣を椅子にかけたまま龍太郎はただ喋り続ける
私がなんの反応も示さないのを知りながら
「おまえを最初に見たのは合格発表の日
ああなんとなくこいつトロいなイジメられるなって思ったのが最初」
それから俺はずっと喋り続けていた、途中なんどか眠りそうになる度にボールペンを腕に突きたてながら
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