恋の処方箋SOS
「えっ・・・」
「なんだよもっと嬉しそうな顔するかと思った」
「だってこれ婚姻届けだよ?」
「おまえもいい年だろ?寿退社なら願ったりだろ」
龍太郎はベッドに突っ伏したまま手を伸ばしてきたので私は慌てて取り上げた
「考えるから時間をください」
「3日だ、それ以上は待ってやんないからな」
「うっ・・・」
3日なんて短すぎる龍太郎は笑いながらもう1枚紙を出した
「それともおまえが払うか?」
私はぶんぶんと頭を振って言った
「ムリ」
「さあてと」
龍太郎は伸びをしてから立ちあがる、シャツの隙間から覗く細くひきしまった線の細い体
私は慌てて視線をそらしたが龍太郎が追い撃ちをかけるように額をつけてきた
「おまえ顔あかいけど熱でもあるのか?」
「大丈夫」
内心、大丈夫じゃないけどなんとか頷いた
「おまえが良くなったらたっぷり啼かせてやるよ
それまでお預けな」
龍太郎は軽めのキスをして病室から出ていってしまった
婚姻届けにキレイすぎる字で比嘉龍太郎と書かれていた
龍太郎・・・
考えていたら白石先生がぬらりと現れた
「あれ?婚姻届けですか」
私は慌てて後ろ手に婚姻届けを隠した
「はいまあ」
「相手は誰です?まあだいたいはわかりますけど
ドーナツ食べますか?いま差し入れをもらったんです
お好きなのをどうぞ」
白石先生がドーナツの箱をずいと押してきた
私は色とりどりなドーナツから2つ選んだ
「ありがとうございます」
「キスしてもいいですか?」
白石先生が優しく唇を重ねてきて熱が燻っていた私はつい強めに返していた
「んっ・・・」
「ああ龍太郎先生は毎晩あなたの声をきいてるんですよね羨ましい」
いつの間にかお互いに貪るようにキスをしていた
「ダメ」
もう終わりにしよう龍太郎を傷つけたくない
私は白石先生を突き放した
「そうですね病室でこれ以上はマズイですね」
そうじゃなくてのまれちゃう私も悪いんだけど
白石先生は鼻歌混じりに病室を後にしてしまった
珍しく休憩室で龍太郎先生が眠っていて僕は近づいてコーヒーを置いた
「起こしちゃいました?」
「わざとだろどーせ」
ずいとテーブルにドーナツの箱を置いた
「1ついかがです?差し入れなんです」
多少いぶかし気にしながらも食べ始めた
「なんか用か?」
「大好きな龍太郎先生と世間話しでもと」
俺はドーナツを食べ終わりコーヒーをいれて席についてドーナツをもう1つ食べる
「お腹すいてました?」
「まあな」
「しかし杏子ちゃんはかわいい」
言っている意味がわからず3つめのドーナツに手を伸ばそうとして箱を取りあげられた
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