恋の処方箋SOS
「いつまで外してればいいのかな」
龍太郎に小声で言うが龍太郎は答えずにお酒を飲んでいた
そうしているうちに2回めの王様ゲーム
「王様だーれだ?」
私は隣にいる龍太郎の腕を軽くひいた
「外いってくる」
「まー待ちなよ杏子ちゃん、王様は僕みたいだから一番が三番にキス
二番が四番にキスね、そして杏子ちゃんは僕がお持ち帰り王様の命令はぜったいだよ?」
龍太郎は美々の横に移動する
「龍太郎」
ちらりとこちらを見る龍太郎
「なに?」
「私、帰ります」
龍太郎が美々とキスするのなんて見たくない
「待って夜道は危険だよ送っていくよ」
すっと触られた肩にビクッとしてうつむいていると優しい声がした
「帰るぞ」
「龍太郎」
「こいつ具合悪くて昼間、病院に来てたんでこれで」
龍太郎はグイグイ私の手を引いて歩いていく
「龍太郎いたい」
外に出るといくぶん気持ちが和らいだ
「車まわしてくる」
「龍太郎お酒飲んでたよね?」
「なんならおまえが運転する?」
黙りこんだ私をみかねて龍太郎は車をまわしてきてくれた
黒のレンジローバーにドキドキしながら乗り込むと龍太郎が除きこむようにキスしてきた
「龍太郎」
口を塞がれ私は掠れた声で名前を呼んだ
龍太郎の手は私の体を撫でていくが唇が離れると手も遠ざかりライターの音に消えた
「いい加減、服なおせよがっつきたくなる」
私は忘れていた王様ゲームでのことを思いだしホックをとめた
「龍太郎ありがとうさっきは」
「キスしたのは謝らないからな」
龍太郎は灰を落としながらあくびをかみころした
医者という激務で疲れているのだろうか
「龍太郎大丈夫?」
「なにが?」
「疲れてそうだから」
「そりゃあな夜勤もあるし楽じゃねぇし女を抱く暇もねぇよ」
龍太郎は軽く笑ってアクセルを踏んだ
私はしばらく流れていく街中の景色を眺めていたが肝心なことを思いだした
「うちに向かってる?」
「家に向かってる」
質問と答えが噛み合わないままレンジローバーは高級マンションの地下駐車場に滑りこんだ
「龍太郎ここは」
「だから家」
私はしかたなく龍太郎についていくことにした
オートロックの玄関から部屋に入るとほとんど必要な物以外置いていなかった
龍太郎はシャワーも浴びずにベッドに横になってしまう
「シャワー借りていい?」
図々しいかなと思っているとベッドから龍太郎が手招きした
ベッドに近づくと手首を掴まれ抱き枕のように龍太郎が後ろから抱きついてきた
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