恋の処方箋SOS
「ちょっと龍太郎」
龍太郎は私を抱いたまま手だけを器用に動かし隙間から滑り込ませた
「やらかいなやっぱり」
「龍太郎」
「うるさいな名前そんなに呼ばなくても傍にいるだろ?」
それでも不安でこれからどうなるんだろうという期待でドキドキがとまらない
「だって好きでもないのにおかしいよこんなの」
「後ろ向きでかわいくなくてあまのじゃく」
「うっ・・・」
「おまえまだ親に甘えてんの?結婚しろとか彼氏はまだかなんて言われてるんだろ」
「龍太郎には関係ないよ」
「でも体は俺を欲しがってる」
「そんなことないよ」
「さっきからずいぶんだいたんだよな足からませてきて」
それは不安でいっぱいだからつい龍太郎の足にからませてただけで
「違う」
「俺も我慢の限界だ」
そこから先の記憶はなくて朝になって私は龍太郎にしがみつきながらいた
「やっぱりしちゃったんだ」
ベッドの下に散乱した洋服を見て罪悪感を覚えた
なるべく音をたてないつもりではいたが龍太郎が薄く目を開いた
「おはよ」
「あっうんおはよ」
なにもない自然な感じで挨拶できたはず
「なに?」
しばらく龍太郎を見て止まっていたらしい
「んん」
「おまえ本当に昨日が初めて?」
「えっ?」
「俺になんどねだった?おかげでこっちは抜かせてもらったけど」
私は龍太郎に枕を顔めがけてぶつけた
「変態、エロ医者」
「はいはい、おまえその格好」
私は忘れていた裸だということを
「龍太郎なんか大嫌い」 
私は逃げるようにバスルームに向かった
シャワーを浴びて戻るとまた龍太郎は目を閉じていた
「龍太郎、帰るからねありがと」
ばっと手首を掴まれてはっとした
「ちょっと待ってな」
「龍太郎、仕事でしょ?」
「非番だよ久しぶりの」
「いいよ帰れるし」
「あんこさ男には甘えるもんだよ?特に俺には」
龍太郎はシャワーを浴びに行ってしまう
本当になにもない部屋
テーブルには鍵とお財布だけ
しばらくベッドに座って待っていると携帯がけたたましく鳴った
慌てて取り落としそうになりながらなんとか出た
「杏子いまどこなの?」
「あっえっと友達の家」
「お父さん心配してたわよ、それとお見合い写真ちゃんと見た?」
「私これから仕事だから」
「お見合いは今日よ青山さん家の息子さんよ」
「でも行きたくないの」 
「帰ってきなさい」
ふいに携帯が奪われてタバコの匂いがした
「比嘉です挨拶に伺えなくてすみません杏子さんとは高校の頃から知り合いで昨日、合コンでばったり会いまして意気投合してしまいましてこれから送らさせていただきます」
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