恋の処方箋SOS
ぜったい聞いてないような笑いかた
「わかったよ俺は鎖に繋がれた憐れな仔犬を演じてますよ」
「仕事もしちゃダメだからね」
龍太郎の場合、カルテを本がわりにしそうで怖い
どうして私こんなに龍太郎と仲良く話せてるんだろう
病院を出てタクシーで家に戻ると姉が着物を着付けてくれた
「帯・・・苦しい」
「文句言わないの」
「お母さんは?」
「12時の約束だからもう先に行ってるわ」
姉と私もすぐに指定された料亭にタクシーで向かった
通された離れにはもう相手が待っていた
「はじめまして青山太一です」
「高瀬杏子です」
「座って」
私は両親に促され席についてみたものの落ちつかない
「杏子さんはなんの仕事をしているんですか?」
「アパレルです」
「洋服とかが好きなんですね」
「あっはあまあ」
「僕といても楽しくないですか?」
「あっいえ」
「料理も食べてください」
「私ちょっとトイレ」
帯の絞めすぎかな?私はトイレに着くなり床に膝をついてしまった
まさかねありえないよね
龍太郎にちゃんと聞かなきゃ
私は席に戻るとなるべく笑顔でいた
「顔色わるいですよ」
「えっ?」
私が困っていると別方向から声がした
「迎えに来たぜ杏子」
だから私は杏子じゃないし両親もびっくりしてるから
龍太郎は軽々と私を抱き抱えると料亭前に堂々と停めてあるレンジローバーに私を乗せた
「龍太郎あのねできちゃったかも」
「はあ?なんの話しだよ」
「だって昨日しちゃったんでしょ?」
「してねぇよ」
私は龍太郎の顔をまじまじとみつめた
「あのなぁおまえが勝手に服脱ぎ出して寝たんだろうが」
龍太郎はタバコをつけながらエンジンをかけた
「あの発言は?」
「冗談だよバーカ」
「からかわないでよ」
「あのなあんま後ろで暴れんなよ」
「だって龍太郎があまりに変なこと言うから」
「好きじゃない奴とはしないんだろ」
龍太郎は窓の外に一瞬だけ視線をやってからタバコの灰を落とす
私はしばらく黙りながらいたがやっぱり我慢できない
「龍太郎コンビニ寄って」
龍太郎が手近なコンビニに停まってくれたので慌てて外に出た
龍太郎のレンジローバー間近で見るとけっこう大きいんだよね
「大丈夫か?」
「うんまあ私トイレ行ってくるね」
龍太郎に後ろから抱きしめられて動きが止まる
龍太郎は慣れた手つきで帯を緩めていく
「おまえこんなにきつく締めたら吐くのもあたりまえだろ」
そういえば少し楽になったかも
「ありがとう」
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