黒胡椒もお砂糖も
うひゃああああああ~!!!これってこれって恋人同士がする、ラブ繋ぎというやつでは!?指を絡めてから手の甲を親指の腹で撫でられ、背中がぞくりと反り上がる。
「ひゃっ・・・」
思わず声が出て、更に真っ赤になった。これこれこれ!私ったら反応しちゃ駄目じゃないのよー!!
静かで落ち着いた高田さんと、一人で脳内大パニック中の私。ああ・・・情けない。
くいっと唇の端を持ち上げて、高田さんが静かな声で言った。
「どうやったらあなたに覚えて貰えるかなと思って」
「は、はいっ!?」
アホ面で見上げた私に彼は美しく微笑する。・・・ダメだ、色気も絶対彼の方が勝ってるに違いない。くらくらと回る頭の隅で、そんなバカな事を考えた。
「―――――――忘れちゃダメですよ、俺のこと」
「・・・・」
「休みの間、忘れないで下さい」
そう言いながら、彼の親指は休みなく私の手を撫でる。
右手は指が絡まってしっかりと繋がれてしまっている。ドンドン体も熱くなって、私はエレベーターと共に血圧も上昇して倒れるんじゃないかと思った。
ちらりと階数ランプを見てから、高田さんは言う。
「・・・18階なんてすぐに着いてしまうからな」
残念そうな口調だった。私はといえば、どうしてうちの会社は3階や4階になかったのだろうと考えていたのに。
「それに」
クラクラする頭で何とか立って、私は高田さんの言葉を聞いていた。下手に声を出したら変な声を上げてしまいそうだった。