黒胡椒もお砂糖も


 そうかもそうかも!彼がまだ独り身なのは、女で苦労してきたからかも!もしくは・・・

 電話をほったらかしで勝手に色々想像を始める。

 近くで結婚が破綻した平林さんを見ていたから、とか。いやいや、もしかして、平林さんの妻に惚れてたとか!!うわーお!それだってことだってあるよね、そりゃ、近くにいた人なんだったら!

『ちょっと美香ー!?どこ行った~!?』

 向こうで陶子が叫んでいる。私はハッとして、床に落としてしまってた携帯を拾った。

「あ、はいはいごめんよ」

 慌てて謝ったけど、頭はまださっきまでの考えに捉われていた。

 高田さんはどうして今、独身なんだろう――――――――・・・



 翌日、初出勤日。保険会社でも今日は大体挨拶程度で、営業活動をする人は少ない。

 行くべき場所も仕事始めでまだ動いてないからだ。会社によったら仕事始めがまだまだ先の所もある。

 なので、営業部自体がのんびりとした雰囲気で、皆が冬休みのお土産を配りまくっている。

 私も実家の近くで買ったお菓子を各テーブルに置き、やれやれと一息ついたところだった。

 パソコン開けてもお客様からのメールもなかったし、今日はもう昼で帰れるな。明日からの動きの予定を立てないと。もう既に2月戦が始まっているのだ。1月分は12月中に何とかスタートを切れてるけど、それだってノルマの完達ではない。

 去年の11月戦が散々で搾られたから、この2月戦は怒られない程度には成績を収めたかった。


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