黒胡椒もお砂糖も
押し黙る私を眺め、さっきよりはもう少し口角を上げて更に彼は言う。
「即答出来ないってことは、望みありですね。それは良かった」
ちょっと待てー!!
「いいいいいいいえっ!!すみませんっ!望みはないって方向でお願いします!」
「ノーをイエスに変えるのが我々営業の仕事です」
「た、高田さん!?それってちょっと例が違ってるような気がしますけど!?」
すると今度こそ、彼はにっこりと微笑んだ。
あれまあ・・・。
その瞬間、私は困って慌てていたのも忘れて、驚いて目を見開く。何て素敵な笑顔でしょ。こんなところに綺麗なものが落ちてるわ――――――――
「無理強いは出来ませんよ、勿論」
「・・・」
「でも、俺が嫌いじゃないのなら、尾崎さんを好きでいることは許してください」
何とストレートな人だろうか。私は遅ればせながら、赤面したのを感じた。
これほど真っ直ぐに言われてしまうとどう返していいかが判らない。ああ、どうしたらいいんだろう・・・。
迷子の気分だった。
「・・・・・えーっと・・・」
「はい」
「・・・ええーっと・・・」
「はい?」
「・・・コンタクト、買いに行ってもいいですか?」