黒胡椒もお砂糖も


 私を抱いてる時も、やはり無口な人だった。だけど声を我慢して耐える私には容赦なく、わざわざ声が漏れるように煽ってはそれを楽しんでいるようだった。

 アイメイクはとっくに崩れていたはずだ。私は彼の腕の中で翻弄されて泣く。

 だって、温かくて、触れるところから溶けていくようだったのだ。

 自分がまっさらになったようだった。

 頭の中はキラキラと光る花火と高田さんの瞳の幻。目を閉じているのに彼の微笑がはっきりと見える。


 ああ、綺麗だな・・・・


 こんなにも熱くって、なんて世界は柔らかいんだろう―――――――――





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