黒胡椒もお砂糖も
「あ、尾崎さんが一緒なんだ。公園ですげー脱力して座ってたから、かっさらってきたんだよ。お前、この人に飯食わせてくれ。金は後で払うから。頼むな」
って、いやいや!頼まないでよ、そんなー!!
私はダラダラと冷や汗をかきながらそろそろと中腰から立ち上がる。ゆっくりと鞄を持った。
「ええと・・・あの・・・私ももう・・・」
意を決して振り返ると、既に平林さんの姿はなく、それを認識してぶっ倒れるかと思った。
ひらばやしいいいいいいいい~!こら、どこ消えた!?
見回すと嫌でも目に入ってくる澄ました端整な顔。
ミスター愛嬌といつでも一緒にいるミスターパーフェクト(上司がふざけてそう呼んでいるのを聞いたことがある)が、無表情で私をじっと見ている。
・・・・うぎゃあ。
「・・・座って」
「へ!!?」
静かに言われた言葉に思わず仰け反って反応したら、少し口元を持ち上げた。
・・・笑った、らしいな、これ。
高田さんはさっきまで平林さんが座っていた前の席に座ると、突っ立つ私を見上げてまた言った。
「座ったら。目立ってますよ」
その一言で、ドン、と一気に腰を下ろした。
目立つのは嫌いなんです!でもよく考えたらあんたがいるだけで無駄に私まで目立つんですけど!
・・・ああ、座るんじゃなくて出て行くべきだった・・・・。