黒胡椒もお砂糖も
はあ、違うのね。
「いつも一緒にいらっしゃるから。第2営業部は基本ペアなのかなと思って」
私のような一般女性営業もいる第1営業部と違って、南支社の第2営業部は男性のみで構成されている。
基本的には同じ仕事だが、平林さんと高田さんの所属する第2営業部は所謂エリート集団で、特別の教育を受けて育った営業集団なのだ。
だから成績がいいのは当たり前と言えば当たり前なのだけれど、やることは一緒なのだから、彼等はそれだけ努力をしているに違いない。ノルマも上司の叱責も、私がいる営業部とはそれなりの差があるはずだ。
部屋も違うし、上司も違う。第1と第2が一緒に何かやることはないのだが、同じフロアにいるので営業同士の交流はあった。打ち上げや会議などは一緒にやることもある。
なので、第1営業部にいる女性社員や事務員さんが、彼等にメロメロなわけだ。
第1営業部には勿論20代の若い女性社員もいるし、事務員さんは派遣社員も正社員もパートさんもいるわけで。
私が知らないだけで実はファンクラブなんかもあったりして・・・とそこまで考えて、いや、どうでもいいな、と打ち消した。
とにかく、第2営業部のことは私には判らないけど、普通は単体で動くはずの営業である彼等はいつでも一緒にいた。だから営業活動をペアでしているのかと聞いてみたのだけれど・・・違うらしい。
黙った私に高田さんが静かな声で言う。
「・・・平林とは幼馴染なんです」