黒胡椒もお砂糖も
新規のアンケートが4枚も取れた上に、通っている会社の廊下で今まで無視されていた女性と話をすることが出来た。
しかも、気を紛らわすために飛び込んだ会社で出入りの許可まで貰えた。
だけど素直には喜べなかった。どうであれ、これは平林さんと高田さんのお陰だと思うのが悔しかったのだ。
その夜、私は近所のスーパーへ足を運び、一人暮らしを始めてから初めての大量の食品の買い物をした。鍋もフライパンも追加で買った。ビールも買った。重くて、帰りは大変だった。
結婚していた時みたいにエプロンをつけて勢い良く晩ご飯を作り、一人でガツガツと食べた。
お腹が一杯になってカーペットに寝転ぶ。そして光の足りない薄暗い天井を見上げてぼーっとしていた。
怒るにも、エネルギーがいるんだったな、そう言えば。
そんなことを考えていた。