黒胡椒もお砂糖も
1、長身。やはり、体格もよくその立ち姿は惚れ惚れとするほどだ。
2、美形。平林さんと違って、すれ違う人間が男女問わず思わず振り返ってしまう端整な顔立ちをしている。惚れ惚れするのは体つきだけでなく、首から上もってわけ。滅多に笑わないが、その欠点を補って余りある美形さ。
3、成績優秀愛想の良い平林さんと、いつでも一緒にいるから。
勿論、平林さんほど特出してるわけではないにせよ、高田さんだって優秀な営業成績を誇る。私なんぞ足元にも及ばない。だから今日は二人とも、支社で開かれた優績者の研修に出席していたハズだ。
平林さんは成績の良さでうちの保険会社では全国レベル。そして高田さんはその外見の良さで全国レベルの知名度がある、らしい。転職組み2年目の私でも知っているくらいの話で、この都心の3支社には何年か前、有名な美男が3人いたらしい。
北事務所の楠本さん。和風美男子のこの人は今は本社でFPをしているのを知っている。成績でもその外見でも営業秘話でも有名な、生きた伝説扱いになっている人だ。
中央支社の稲葉さん。甘え顔美男子のこの人は今では支部長として地方の支部担当になったらしい。この10月で赴任し、お陰でこちらの支社では相当数の女性社員が悲しんだと聞いた。中には事務所の移籍を企んだ追っかけもいたらしい。因みに私は同じ歳だそうだ。
そしてうち、今すんごく近くにいる、南支社の高田さん。二重の細めの瞳、まっすぐな眉、通った鼻筋、薄い唇。男性営業では異例の長髪。肩までの黒髪を無造作にくくっているが、それすらも絵になるから憎たらしい。