黒胡椒もお砂糖も
楽しかった。
納得して契約も貰えたし、異種業間の交流までしてしまった。
でも保険屋さんとの合コンがしたいですというお願いは丁重にお断りした。こんな軽い奴らをうちの事務所のラブリーな女の子達と引き合わせられない。
それでもし、私が紹介した中村さんや弓座さんが恋愛に嵌って仕事への興味を失ってしまったら、私が副支部長に殺される。それは確実だ。
私はそんな話を皆としないんです~、と言って、キッパリと断るとちょっと残念そうだった。
うーん、若いぜ、君達。まだまだ遊びたい年齢なのね。
12月の中旬、私は気分もよく冬の街を歩く。
街路樹には電灯が飾り付けられ、店のディスプレイも派手になってきていた。
もう、クリスマスなんだな。
そういえば去年のクリスマスは、夫がいない寂しさに号泣して、女友達に慰めてもらったんだった。寂しさに耐え切れずに電話すると、友達は自分のダンナをほったらかしで駆けつけてくれて、抱きしめて慰めてくれた。お陰で私はクリスマスに発狂せずに済んだのだ。
有難かった女友達の存在。
親には見せられない姿をいつでも見せてきた親友に抱きついて過ごしたんだった。
後で私は彼女とその理解あるダンナさんに、せめてのお返しにと、遅れたけれどクリスマスプレゼントを奮発した。
・・・また一年が経ったんだな、と思った。
今年は泣かずに済みそうだ。仕事が楽しくなってきてそれどころじゃないし、それにそれに―――――――