黒胡椒もお砂糖も


 で、必死で避けてるってわけ。まだ確実には彼等が私のどこに興味を持ったのか判らない。たーぶん、面白がってからかってるだけだとは思うけど・・・。

 御多忙のはずなんだから、遠慮せずにどうぞお仕事に行ってください、と心の中で願うばかりだ。

 まだ救いなのは、二人が一緒にくること。そのどちらか一人だけだとすぐに行き着くところまでいっちゃった噂になるに違いない。二人だから、まだ、尾崎さんがからかわれてる~ってレベルで済んでるのだ。

 どうぞそのままでお願いします!クリスマスの神様にもお願いしとかなきゃ。

 私はため息をついて、曇り空を見上げる。

 雪になりそうな気温だった。



 やっぱり、その夜から雪が降ってきた。

 テレビのニュースではいつもより早い初雪に警戒を呼びかけていたし、小さな安物アパートの私の部屋はシンシンと冷えまくっている。

「うううううう~・・・寒い寒すぎる~」

 去年はどうやって過ごしていたのだ、私!そう思うほど、この部屋には暖房器具がなかった。もう何もする気が起こらず、羽毛布団に毛布ものせて包まって寝てしまった。

 というわけで、翌日の日曜日、朝から買い物に出かけることにした。

 部屋に元々ついていたエアコンはもう古くて全然意味がなさげ。だけどエアコンを取り替えるのには金も時間もかかるし、と電気ストーブとホットカーペットを買い込んだ。

 7畳間の小さな部屋だ。ホットカーペットを敷き詰めておけば、足元の冷えがなくなるだけでも大いに違うに決まっている。

 こういう時は駅前で助かった。


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