黒胡椒もお砂糖も
うがあああ!本当に殺してやるー!殺気だった私が睨みつけるとますますヤツは笑う。
それを支社の事務員と本社のFPはただ観賞していた。
「送ってもらったら?外寒いですよ、尾崎さん」
大嶺さんが言うのに、楠本FPも頷いた。
「平林から逃げるのって結構大変だと思いますよ。なんせこいつはしつこいから」
「楠本さん!しつこいって何ですか!情熱的と言って下さい」
「ああ、うん、そうだよな。情熱的な男ですから、こいつは」
今度は男二人でじゃれている。それを見て大嶺さんが笑う。
・・・皆さん楽しそうですね。一人ぐったりとして、私は壁にもたれていた。ああー・・・神様、助けて。
大嶺さんが近寄ってきて、私の右手をしっかりと握った。そして小声で私に囁く。
「尾崎さん!高田さんを落とした秘訣、今度教えて下さいね!」
私は小さく抵抗を試みる。
「・・・あの・・・いえ、違うんです、大嶺さん。平林さんの言うことは無視して下さい」
彼女は瞳をキラキラさせてうふふふ~と笑った。
「すっごい!あの無口で女子を寄せ付けない南の高田にお気に入りの人が!これはニュースだわあああ~」
・・・あああ~・・・。ほんとに、勘弁・・・。