さくらいろ(仮)
学校は嫌い。
でも1つだけ楽しみがある。
それは━━
「押し倒された!?」
「やだ……そんな大きな声で言わないでよ」
「だって、渚」
「嫌じゃないよ。嬉しいというか……恋人同士だし……」
「それで、どうなったの?」
渚は恥ずかしそうに顔を両手で隠した。
そう、唯一の楽しみは渚の恋バナ。
直接聞くわけじゃないんだけど……
「もしかして……」
「やだやだ! 恥ずかしいから!」
なんとなく、まだ先には進んでないと思った。
私はそっと胸を撫で下ろして、机に鞄を置く。
「……女って、結局は待ちぼうけなんだな……」
思わず出た言葉に自分で吹いてしまう。
それに反応してくれる人はいない。
私は好んで孤立しているから。
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