さくらいろ(仮)



「今日も来たのか?」
「彼女の特権」
「いや、けど親御さんが……」
「関係ない」

そう言って、私は“彼”にキスをした。

私と両親は仲は悪くない。
もちろん家族仲も悪くない。
親の仲が良すぎて今の私がいるのも理由としてあるんだけど……

「桜……こういうのはもう少し━━」
「子供扱いしないで!」
「けど━━」
「そりゃ胸だってないに等しいし、まだ子供も産める準備すら整ってない体だけど、でも!……でも一人の女なんだよ」

強引に“彼”の唇を奪い、舌を絡める。

「……ッ」

苦い鉄の味が口の中に広がっていく。
強引なディープキスは苦痛でしかなかった。
好きなのに甘くないキス……



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