オフィスの野獣と巻き込まれOL
部下になる
今日から4月。
新年度の始まりと共に、席を移動することになった。
今日から新しく、出来たチームに所属することになってる。
もちろん、私と堀川課長、それから山科君の三人だけだ。
その三人でグループを組んで、経理部の堀川課長の下で働くことになった。
なったのは、いいのだけど……
『なんで美帆が経理に?』
異動を知った人が、私の顔を見るたびにそう言ってくる。
私の性格を表す言葉だ。
成田美帆に、経理が務まるのか。
正直、数字を扱うのも、計算も大の苦手だ。
みんな口にしないけど、絶対裏でそう思ってる。
飲み会の幹事すら、私には向いてない。
『大丈夫だって、大事なお金を扱うのは、山科君だけどから。
私は、堀川課長のサポートするの』と聞かれるたびに答えるけど。
入社した時、経理部は、絶対に配属されたくない部署の一つだった。
どうしよう。
毎日、一緒に仕事ができるのは、嬉しいけど。
数字を扱うプロみたいな人に、私の無様な仕事ぶりを見せることになる。
出来るふりして、適当に誤魔化せば……
誤魔化すって。
課長の前で人並みに振舞うこと自体、無理な気がして来た。
きっと使えないやつって疎まれて、山科君にも可哀想にって同情されるんだ。