オフィスの野獣と巻き込まれOL

「ん?」

「さっきフロントで、そこにしまうのを見ていましたから」

「そうだっけ?ありがとう」

彼は、キーを受けとって、お礼を言った。

「ええ」

キーを渡すとき、課長の手が触れた。

課長の大きな手が、私の手をしっかりと握った。一瞬だけ、ほんの少しだったけど

課長の表情から、何かを読み取ろうと思ったけれど。

疲れから少々充血してる目と、固く結んだ唇からは、何も読み取れなかった。

「分かりました。それなら、明日は一人だけゆっくりさせていただきます」

「ゆっくりだと?何言ってる。
工場の朝は早いんだぞ。7明日の朝、時に食事だ。出かける前にミーティングをしよう」

「分かりました」

「じゃあな」

一瞬だけ。

振り返って抱きしめてくれるかなと思って期待した。

でもドアはすぐに閉じられて、再び開くことはなかった。


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