オフィスの野獣と巻き込まれＯＬ
彼は、心配そうに何度も大丈夫かと尋ねてくる。

私は、気持ちを切り替えるために言った。

「ねえ、見て。ほら、そこ。
『柱くぐり』してる」

私は、涙を誤魔化すために、注意を、柱くぐりの方に向けた。

「俺には無理そうだ」

「残念ね。仏さまの鼻の穴と同じ大きさという柱の穴をくぐると、無病息災のご利益があるのね。私、やってみようかな」

何とかくぐり抜けられた。

彼に、笑って見せる。

お土産を買って、大仏殿の外に出る。

流れに沿って、鐘楼、法華堂、お水取りで有名な二月堂へと足を進める。

鐘楼から石階段を上がると、法華堂が見えて来た。

法華堂は、東大寺の中で最も古い建築物である。

堂内の本尊の不空羂索観音、

梵天、帝釈天、金剛力士像、四天王像、執金剛神の10体の仏像を拝み、

「お水取り」の舞台で有名な二月堂へと進んでいく。

毎年3月1日から2週間に渡って行われる
「お水取り」こと

「修二会（しゅにえ）」は、私たちが犯している日常のさまざまな過ちを懺悔し、

天下奉安や万民豊楽など人々の幸福を願って行われる。

「不退の行法」として、奈良時代より1260年以上一度も途絶えることなく続いてる。
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