オフィスの野獣と巻き込まれOL
通路から、店の中をのぞき込む。
フロアを進んでいき、カウンターが見える位置まで近づいた。
私が声をかける前に、ママの方が気が付いて振り返った。
「ママ……」
ママの顔を見たら、感情が抑えられなくなった。
「この子は、どうしたっていうのよ」
いろんな人の顔が浮かんで、言葉が詰まってしまった。
何から話したらいいのか、分からない。
「こっちにいらっしゃいよ」
ママは、背中を押してくれた。
私をボックス席に座らせて、マスターに水を一杯持って来させた。
「落ち着くまで、何も言わなくていいのよ。ゆっくり飲みなさい」
「はい」
「バカな娘ね」優しい声がした。
「まだ、何も言ってないです」何でも先回りして言ってしまうママらしい。
「30才にもなろうって女性が、目を真っ赤にして飛び込んでくるなんて。
普通じゃないわよ?」
「はい」と頷いた。
本当にその通りだった。
私は、呼吸を整えた。
そしてママのことを真っ直ぐ見つめる。
「ママ、祐一さんが、
あなたの息子さんだったって、
どうして教えてくれなかったんですか?」
「いくら私だって、あの子が何してるのか、全部わかってるわけじゃないのよ」
「一緒に店に来た時、ママが彼にすごくよそよそしくて驚いてたの」
「あのときは、私だって驚いてたのよ。
心臓が止まるかと思ったわ。
どうして、あなたと息子が一緒にいるんだろうって考えたわ。
でも、嬉しかったわ。
あなたが大きくなった息子を連れて来たんだもの」
フロアを進んでいき、カウンターが見える位置まで近づいた。
私が声をかける前に、ママの方が気が付いて振り返った。
「ママ……」
ママの顔を見たら、感情が抑えられなくなった。
「この子は、どうしたっていうのよ」
いろんな人の顔が浮かんで、言葉が詰まってしまった。
何から話したらいいのか、分からない。
「こっちにいらっしゃいよ」
ママは、背中を押してくれた。
私をボックス席に座らせて、マスターに水を一杯持って来させた。
「落ち着くまで、何も言わなくていいのよ。ゆっくり飲みなさい」
「はい」
「バカな娘ね」優しい声がした。
「まだ、何も言ってないです」何でも先回りして言ってしまうママらしい。
「30才にもなろうって女性が、目を真っ赤にして飛び込んでくるなんて。
普通じゃないわよ?」
「はい」と頷いた。
本当にその通りだった。
私は、呼吸を整えた。
そしてママのことを真っ直ぐ見つめる。
「ママ、祐一さんが、
あなたの息子さんだったって、
どうして教えてくれなかったんですか?」
「いくら私だって、あの子が何してるのか、全部わかってるわけじゃないのよ」
「一緒に店に来た時、ママが彼にすごくよそよそしくて驚いてたの」
「あのときは、私だって驚いてたのよ。
心臓が止まるかと思ったわ。
どうして、あなたと息子が一緒にいるんだろうって考えたわ。
でも、嬉しかったわ。
あなたが大きくなった息子を連れて来たんだもの」