オフィスの野獣と巻き込まれOL
さらに文句を言うと、そのスーツ。
ジャケットどうしちゃったの?洋服と肩がまるで合っていない。
野暮ったく、スーツに着られてしまっているみたい。
一回り大きいサイズ買っちゃったのかな。
子どもならわかるよ。大きくなるもんね。
まるで、子供店長みたい。
やだな。思わず笑みがこぼれる。
子供店長、スープは美味しいですか?
なんてね。
大き目の服にしても、子供なら日々成長するから意味があるけど。
どう見ても、30過ぎるんでしょう?
この期に及んでも、成長を期待してるわけ?
今後の成長を望んでるなら、早く諦めた方がいい。っていうか、その身長で十分じゃない?
並んで立った時に、私より頭一つ高かったじゃないの。
それに。
ズボンのすそ裾、引きずっちゃってるのは、わざとかな?
スーツの量販店に行けば、いくらでも安くていいスーツがあるのに。
私は、目の前の男性から視線をそらした。
目の前の彼に気付かれないように、ほんの小さくため息をつく。
せっかく、こんな素敵なレストランで食事ができるというのに。
どうしてこんな、いけてない男と食事してるんだろう。
数十秒、窓の景色を見ても結局、間が持たなくて仕方なく男に視線を戻す。
さっきからその繰り返し。
やっぱり、変だよなあ。この人。
極めつけが、このメガネ。
大きすぎる。トンボのメガネみたい。
きちっとした性格なのは分かる。姿勢だけはいいもの。
今、彼は、背筋をピンと伸ばし、ポタージュスープを器用にすすっている。