オフィスの野獣と巻き込まれOL

「祐一さん……」

彼は、わたしを引き寄せて腕に抱いた。

「どこにもやらない。本気だ。

ホテルに行くなら、東京中のホテルに電話させて君を締め出すぞ。

ついでにクレジットカードも使えなくしてやる。

そうすれば、どこにも泊まれない。

それだけじゃない。伝手を使って君の居所はすぐに調べさせる。

どんな会社も、誰も君を雇うことはできない。

綿貫の社長である俺が全部阻止する。君は、この国で俺なしでは何もできなくなるんだ」

私は、向きになって答える彼にあきれ顔で言う。


「正気とは思えないわ」

「もうとっくにどうかしてる。

君を初めて見たときに、重役の誰かの女だと思った。

こんな女は、絶対に相手にしてはいけないと思った。

手を出すわけにはいかないと思ったのに。

なのに、

酔ってた君から微笑まれて、どうしても抵抗できなかった。

最初に、俺の目の前に現れたときには、もうダメだと分かってたから。

君にひかれていた。一目ぼれだった。

一度だけなら、忘れられると思って君を抱いた。それが間違いだった」
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