オフィスの野獣と巻き込まれOL

「自問自答じゃなくて、今のは懺悔だね。
会わなかった休日の間、何かやらかした。そうだろう?」

亜美に向かって、メガネ男が言う。

ここにもメガネ男。メガネはここしばらく見たくない。

嫌いだメガネなんて。

彼も私たちと同じ。同期の山科君だ。
でも、このメガネ君はいいやつだ。口は悪いけど。

その彼が、お約束のきつい口調で言った。

山科君のきつい意見なんて、昨日のキモ野郎に比べれば、たかが知れてるけど。


月曜の、どうにも気分の乗り切らない一日。

朝のかったるさを、お昼まで引きずっていた。

そして、この不機嫌さを友人二人に指摘される。

特に、山科君の追跡は、頭の回らない午後にはつらい。


亜美も山科君も私と同じ管理部で仕事をしている。

普段は、二人とも気の合う仲間なんだけど。

おっとりした亜美とは違い、慎重で観察力に優れた山科君は、今日の朝、あいさつした時から私の異変に気が付いていた。

長身で優等生みたいなメガネをかけた彼は、時々メガネの位置を直す。

その時に、ギろっと睨んで、気が付いているぞっていう合図を私に送って来くる。

彼は、細かい。

人よりだいぶ細かく出来ている。

だから、どうでもいいことに気が付く。

今みたいに、一人にして欲しい。



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