オフィスの野獣と巻き込まれOL
うまく誤魔化せたと思ったのに。
つーっと。何かが流れてきた。まずい。なんか垂れて来た。
いやだな、鼻水かなと思ったら、涙だった。
やばい。私、泣いてる?
「美帆ちゃんどうしたの?ちょっと……」
亜美が具合でも悪いのかと、心配して私の顔を覗き込む。
彼女のふわっとした髪の毛が鼻先に触れる。
ハクション!!
クシャミとともに、鼻水まで出てきた。
顔を手で覆って、隠した。大惨事。
私は、小さな女の子のように何もできずに立っていた。
「どうしたの美帆?タマネギでもしみた?
うそ、タマネギの匂いなんてしないよね?コショウかな?」
亜美の天然ボケに救われた。
彼女はトンチンカンな事を言って、自分のハンカチを私の顔に当てている。
「いいよ。大丈夫だから。ハンカチ汚れちゃうよ……」
「大丈夫、
もう汚れちゃったから、そのまま持ってていいよ」
「そっか……」
亜美は、ハンカチが汚れたことなんか気にしない。優しいのだ。
きれいにアイロンのかかったハンカチが、使い物にならないほどぐちゃぐちゃになっていた。