オフィスの野獣と巻き込まれOL


たいていの事は、彼の方から『何かあっただろう?』って心配してくれる。

話さなくて言い分、彼と一緒にいて楽な時もある。


こんなふうに、適当に流したいのにっていう時は、別だった。

普通の人が、気付いてほしくないところも気付いてくれる。

「ほら、美帆の分もサンドウィッチあるよ」

山科君が、サンドウィッチの袋を一つ渡してくれた。

酷い顔で立ちつくしてる私に、受け取れよと言って投げてくれた。

どういうことだろう。

何も聞かれないのが逆に恐ろしい。

「ありがとう」

私も、なんとか平静を装って答える。

私は、自分のお弁当箱の上に乗せたサンドウィッチを見つめる。


もしかして、たくさん食べれば、気分がよくなると思ってない?

どうしようかと思ってると、山科君が話しかけて来た。

「おかず、少しもらおうかな?」

お弁当箱を開けると、彼がのぞき込んでくる。


「いいよ。どれでも。味は保証しないけど」私は、彼に取りやすいようにお弁当箱を近づけた。

「じゃあ、から揚げ」

「おかずの交換、いいな。私も入れてもらおうかな」亜美が無邪気に言った。
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