オフィスの野獣と巻き込まれOL
それから、さらに時間がたって。会議室の方から、バタンと音がした。

私は、耳を澄ませた。

微かに足音がする。

ようやくキモが仕事を終えて出て来る。

携帯をバッグにしまって、キモがやってくるのを待ち構える。

私は、ずっと観葉植物の鉢の陰に隠れて、エレベーターホールを見張っていた。

長かった。ようやくキモがやって来た。ビジネスバッグを抱えて、疲れた様子でやってくる。


彼は、エレベーターの前に立ち、「はあーっ」と大きくため息をついた。

なに?

なんで、ドアに向かってため息なんかつくの?

そして、何を思ったのか、あろうことか彼がくるっと振り向いてこちを見た。

キモは、振り返えると、観葉植物の後ろに隠れた私を簡単に見つけた。

いら立ちを隠せない表情というよりは、呆気にとられた顔して私に同情的な目を向ける。

えっと……ちゃんと隠れていたはずなのに。

なんで見つけるのよ。

ここは、見逃して欲しいと言う訳にはいかないみたいだ。

「あの……」

「こんなところでなにしてるの?」

「ちょっと。用事があって」

「うそ、つけ。ずっとここで待ってたんだろう?」

「まさか。私ってそんなに暇じゃないのよ」

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