可愛い人。

変化




その日の昼休みーー




私はいつもの通りに自分の席についていた。



机にかかっている鞄からお弁当を取り出すと、机に置いてそっと蓋をあける。



中身はお母さんお手製のカラフルなお弁当だった。




きっと、友達と食べると思って、毎日作ってくれてるんだろうな……。



そんな母の思いを察すると泣けてきてしまう…。




お母さん…。



お母さんの気持ちを裏切ってて、ごめんね。



本当はいつも一人で食べてる事なんて知らないだろうな…。




このお弁当を見るたびに罪悪感に苛(さいな)まれる私。



親には心配をかけたくなくて、“友達がいない”なんてことはもう何年も言えていなかった。



そんな申し訳ない気持ちを抱え込んだまま箸を手に持ったとき、




「あ!野呂さん!こんなところにいたっ!」



と、塩沢さんがこっちにズンズンとやって来た!




え!?



な、なんだろう!??




塩沢さんの迫力にビクッと肩が上がってしまった私は思わず箸を落としそうになる!



そんな私にお構いなく近づいてきた塩沢さんは、普段他の人と話すような変わらない調子で声をかけてきてくれた。




「体育のとき、ありがとねー!江梨子の相手してくれて!!アタシ頭に血がのぼって男子のほうに混ざっちゃったけどさー、江梨子のことすっかり忘れててさー!」



江梨子…さん……??


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