可愛い人。


あれからどれくらい経っただろうか。



私、野呂万実はサウナ状態の教室にいた。




「……よし、できた。」


私は完成したばかりのあみぐるみを眺めてみる。


教室の隅で休み時間、あみぐるみを編むことが最近のマイブーム。



でもその手は汗ばんでいて、すぐにでも手を洗いに行きたいくらいで…。



「あ!野呂さん、また新しい動物?ほんとに可愛いね、それ!!」


「今度はアヒル?くちばしが可愛い!!」



そう話しかけてきたのはクラスメイトの女の子たちだった!



「…う……うん。」



ど、どうしよう!



恥ずかしくてたまらない…!



人付き合いが苦手だけど、注目されるのはもっと苦手で、私は赤くなっているであろう顔を俯かせた。




で、でも、ちょっとだけ……



勇気……



だしてみよう…かな…?



「……あの………もしよかったら………こ、ここここのアヒルさん、差し上げます…!」



い、言った!!!



「え!??本当!?嬉しい!!」



!!!



良かった!喜んでくれてるみたい。




ホッと胸をなでおろしていると今度は男子の集団がこっちに近づいてきた!!



「何それ?スゲー!まさかお前が作ったの??!」


「違う違う!野呂さんが作って私にくれたの!うふふ、いいでしょうー!」



と、あみぐるみのアヒルを掲げて話しかけてきた男の子に自慢していた!




ひえっ!!



そ、そんなことをやってしまわれたら…!!!


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