可愛い人。


「どれどれ?見せろよ!」


「俺も見てぇー!」


「野呂ってこんな器用だったのかよ!いつも何やってんのかマジでわかんなかったけど。」



「ちょっとー!野呂さんに近づかないの。あんたら男子とは違って野呂さんは繊細なんだからね!!」



「はあ?!ふざけんなよ?!」


「野呂ちゃ~ん!俺たちにも作って作って♪」




一瞬で私の周りは騒がしくなってしまいました。



他のクラスメイトの子達も興味をもったのか、こっちを見てくる!!



ど、どうしよう!!?


私がアヒルをあげたことで大変なことになっちゃったよ!!



この状況は私にとって、云わば、針の筵(むしろ)!


今たくさんの人に見られているんだと思うと我慢ならなかった……!!



無意識に目をギュッと閉じると、ただただ小さく縮こまって下を向いて目もとの長さまである前髪をもっと長くする!





――だ、誰でもいいから、お願い!!



助けてっ!!!




すると人垣の奥から声が聞こえてきた。




「なにやってるの、お前ら?」



「――っ!!」




その声を耳にしたとき、全身に粟立つような感覚を覚える!




この声……って、まさか……。




「あ!翔太!!見てみろよ、野呂の芸術を!!」




“翔太”と男子に呼ばれていて、クラスでも背が一番高い、




山崎翔太、その人だった!




そう認識してしまったら今度は体が凍ったように動かなくなってしまった…!


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