可愛い人。
「野呂って、女子力高い女だったんだな~!!」
「あ、そうだ!俺たちの分も作ってよ!ちなみに翔太はくまさんで!」
「アハハハハ!それいい!!翔太めっちゃラブリーになるな!!」
と男の子たちが山崎くんにそう言ってはやしたてている。
だけど内心、私は気が気じゃなかった。
だって……山崎くん……私のこと嫌いだし……。
私も山崎くんが苦手で……。
山崎くんの「嫌い。」があの日から私のことを縛り付けている。
嫌いだから、
嫌いな人の話を友達からふられているから、
私は次の山崎くんの反応がとても怖かった…!
彼の声がした方へ恐る恐る顔をあげてみると……。
!!!
山崎くんと目が合ってしまった!
何かに弾かれたかのようにまたパッと下を向く私!
心臓がドクンと嫌な音をたてる…。
これで山崎くんにまでからかわれたりしたら、
さらに拍車がかかってさらに私はクラス中から注目されてしまう……!!
人の注目の的になることはどうしても避けたい私にとっては苦しみでしかない。
胸の奥からこみあげてくるものがあって、それが形となって眼から出そうになったその時だった。
「…んなことより、昨日言ってた雑誌持ってきてやったぞ。読まねぇの?」
と、山崎くんが鞄から雑誌を取り出してみせた。