可愛い人。

力強さ



「次は移動教室だから早く行こうかな。」



お昼休みの時間。



私は次の授業の準備も兼ねて開始15分前に一人、視聴覚室に向かって渡り廊下を歩いていた。



それにしても日差しが眩しい。



そろそろ一学期も終業だよね。早いな。



時間のテンポと私の歩む速度が虚しいほどに交錯しないのを感じながらそんなことを思っていると、




突然、後方から鋭い声が飛んできたっ!!





「危ねえッ!!!」




!!?



急に進行方向とは逆に身体が持っていかれた!



その瞬間、驚くほどスローモーションで風景が流れていったと思う。




それと同時に私の上体が何かに大きく包まれて温かさを感じた。




私は誰かに抱き寄せられる格好になり、逞しい腕が肩にまわされた時だった!






バシッッ!!!





「―――っ!?」



頭上では何かが鋭く当たる音が私の鼓膜をふるえさせて、その音に一瞬恐怖で体が強張る!!




………なに?



いったい何が起きたのっ??!



そしてこの眼に映っているのは、白い…ワイシャツ……??



でも視界いっぱいに映るそのワイシャツのせいで、いま何が起きているのかは全くわからない!



だからかもしれないけれど、



怖いッ!!




恐怖感が一気に小さな私を飲み込んでいく…!




するとそんな私の心の叫びが周りに聞こえたのか、大きい温もりがさらに私をキュッと引き寄せてきたっ!!



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