平凡という至福

朝、起きるとちょうど炊飯器に炊きあがりのランプが付く。
それを確認してしゃもじを水で濡らし、お釜のごはんを混ぜる。
湯気がもわぁっと上がって目の前を塞ぎ、「あっちー!」
と言うと息子もそれをじーっと眺めながら
「あっち、あっち」
と繰り返す。
『いただきます』
味噌煮込みうどんみたいに、お味噌汁に形のちょっといびつな卵が入っているのが我が家流だ。
今日も、今日という日が始まる。
息子を保育園へ送り届けた空っぽのベビーカーを180℃クルッと方向転換させながら、私は深呼吸する。
今日はどんなことが私を待っているのだろうかと。
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