臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「いや。意味はあるぞ。俺の好奇心が満たされるじゃないか」

偉そうに言うことじゃないですが。

「……わからないですし」

「何がだ?」

「社長の性格が……もう意味不明過ぎてわからないですし」

見た目からすると、モテモテで……これは間違いなかったけど。

なんでもスマートにこなしそうだけど、仕事以外はそうでもないし。

俺様で強引だけど、ちゃんと女性をエスコートするのは忘れないし。

言葉遣いも乱雑で……私も人のこと言えないけど。

ニヤリと意地悪そうに笑ったかと思うと、子供みたいに笑う34歳。


意味不明すぎる。


「お互い様だな。俺もお前は意味がわからん」

「はぁ……そうですか」

「俺から見るお前は、なかなか一本芯があるようで……曲げても曲がらないような気がするが、柳みたいな気もするし」

柳ってなんですか。

ムッとしたのがわかったのか、社長は少しだけ肩を竦めてみせた。

「風になびいても、気がつけば元に戻っていて、しなやかで折れない」

「優柔不断てことですか?」

「優柔不断は紫陽花な気がするなぁ。柳は柳だろ? 紫陽花は花の色ごと己を変えていく」

うーん。誉められてるのかな?

どっちなんだろう。臨機応変ってことかな。

でも、臨機応変は、秘書課の必須スキルだと思うなぁ。
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