臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
そんな風にぼんやりと会場を眺めていたら、テキパキと進行は進んでいく。

「それより、会長にご挨拶はいいんですか?」

「こっちは表向きの会だからな。本当の誕生日は明日だし、明日の夜にはもっと内輪の連中で集まる」

「だからって、二人で壁の花になっていなくても良いでしょう」

声をかけられて振り向くと、どこかで見覚えのあるような男の人が立っていた。

見たことはある。あるんだけど……。


「ああ。従兄弟の飯村孝介だ。初めて会うのか?」

社長に言われて手を打った。

副社長の息子さん! わかるわかる副社長に超似てる!

口髭あったらもっと似てるけど、そうすると、ただの若者がいきがっているようにしか見えないから……。

だからこれはこれでいい。うん。まぁまぁ目の保養になる。

観賞ブツが増えたのは嬉しいな。うちの会社に勤めてるのかな?


「……なんだろう。珍獣を見つけたみたいな反応されてる気がする」

孝介さんの言葉に、社長が大きく納得した。

「美和は面食いだな?」

「面食いって、それが恋愛対象になった場合に言う言葉じゃありません?」

それなら違う気がするんだけど。
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