臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
返事をどうしようか迷ったら、彼女達の背後から、ぶふっと吹き出すような音が聞こえ……。

顔を上げると、社長が笑っているのが見えた。

笑ってはいるけど……何故か目が怖い。

目がマジだよ社長!


「美和。離れるなと言っただろう?」

そう言ってツカツカ近づいてきたから、チーム大和撫子がササッとよけていく。

そこはよけないで欲しかったかなぁ。
なんか社長は笑顔で怒ってるみたいなんだけど。

もしかして、こそっと離れたの怒って……いるんだろうなぁ~。

だってさぁ、あんな中で“トイレに行ってきます”とか、言えないでしょ?

まさか、それにもついて来るというつもりなら、それってなんの罰ゲーム。

うん。私はおかしくないもんね。

でも目の前に立ち、じっと見下ろされてると負けそうになる。

困って視線をあちこちに向かわせていると、ふにふにと頬っぺたを摘ままれた。

「あの……」

「お前は、黙って俺に守られていればいいんだよ」

「でも、これは私に売られた喧嘩です」

「今、お前に売られたのなら、俺に売られたも同然だろ」

社長は突然ふわりと笑うと、唐突に私の頭を抱き込んで、大和撫子を振り向いた。

「うちの美和が失礼をしませんでしたか?」

え。ちょっと待って。社長の頭大丈夫?

うちの美和とか言い出したよ?
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