臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
私は……?

「あんた、あまり社長の顔見てないで言い争ってるでしょ。めっちゃくちゃ楽しそうにしてるよ。社長は」

「だって……」

あまり近くで社長の顔は見れないんだもん。萌え死んでしまったらどうするつもりだ。

「とにかく、そんなんじゃないよ」

でも、楽しんでいるの?

それなら余計に社長の顔をまともに見ちゃいけない。絶対に悶える。

社長の楽しそうな顔は要注意だから。

「もう少しグレードの低い美男子なら良かったのに」

「あんた、美男子好き~の癖に、どうしてひねくれちゃうの? 近寄れてラッキーとは思わないの?」

「バカだね。手に入る果実なら嬉しいけど、ピカピカの高級品なんて手に入るはずなんて無いんだから、近くにいるだけ毒にしかならないでしょ。」

詩織がぷくっと頬を膨らませて、持っていたジョッキをテーブルに置いた。

「わかんないじゃん! 男なんて付き合うのは派手で美人な方がよくて、結婚になると地味なかわいい子を選ぶじゃない!」

「そりゃそうだよ。恋愛と結婚は別物でしょ? 恋愛は甘~いケーキがよくって、結婚はシンプルに飽きのこない白米よ。食パンでもいいな」

「……どうして美和は食べ物に例えるの」

「お腹空いてるの!」

お上品にモツ煮込みつついてる詩織と違って、私は空腹なんだよ!
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