臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
社長に連日ランチに連れだされ、まさか彼と一緒に近場の定食屋とか、社食に行くわけにはいかないし。

お上品な店に、お上品な食事。

緊張しながら食べる食事は、あんなもん食べた気がしないんだよ!

私は今、とんでもなく安くてボリュームたっぷりな定食を欲している!

だけど、ないから焼鳥で我慢する。

ガブガブ食べて飲んでいたら、そんな私を詩織は呆れて眺めた。

「あんたは本当に眺めてるだけで幸せになれんの? 普通さぁ、自分の好みに合った男がいたら、近くにいたい~とか、自分のモノにしたい~とか思わないわけ?」

「詩織は男前の肉食だからね。私は態度に似合わない草食女子なの」

「自分で言ってんじゃないっての」

デコピンをくらったけど、笑いながらビールをあおる。


そりゃ、見てるだけでいいなんて思わないよ。

そこまで殊勝な性格してない。


……って言うかさ。


「さっきから詩織、何気に私の事をディスってない?」

「今更。いいじゃない。春日井さんが騒いでたけど、服もアクセも社長に買ってもらったんでしょ? 貢がれてんじゃないの」

いや、違う。激しく違う。これはカモフラージュのための格好で、実用性はあまりないんだ。

だけど言えない。

だって、真実を知る人は少なければ少ないほどいいらしいし。
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