臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
詩織の事を信用していないわけじゃないけど……。

たぶん終わるまでは言えない……って、終わっても言えないような気がしてきたかな。


「私の話はもういいよ。詩織はどうなの? 今、大学時代の先輩とつきあってるんだよね?」

「別れた」

あっさり紡がれた衝撃的な言葉に、詩織を凝視した。

「いったい何があったの? 同棲していたよね?」

「プロポーズされたから」

うん。何かおかしな言葉を聞いた気がする。

プロポーズされたら別れるの? それって何だか変じゃない?

だけど、詩織は当たり前のような顔をしている。

「私、結婚するつもりはないの。けっこう遊んでる人だし、まだ28歳だから、結婚は考えないと思っていたんだけどなぁ」

「いやそれって、詩織に本気だったって事じゃないの?」

「別に本気じゃなくてもいいの。浮気相手だっていいのよ。たまに構ってくれれば」

……壮絶な恋愛観を聞いた気がする。

「幸せそうだったのに……」

「幸せだったよー? あいつがプロポーズしてこなければ」

詩織とつきあっていた先輩に同情しかけたけど……。

恋愛観なんて人それぞれだから、私が考えることじゃない。


「……不倫はやめておきなね?」

「あ。それは気を付けてる。さすがに妻がいる人は気を付けないと、訴訟になったらどうにもならないもん。今はホテル暮らしだから、さっさと部屋決めないと」

そういう問題じゃない気がする。
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